高校の文集に寄せた文章

カテゴリ:身辺雑記 [2011年03月27日 23時00分]
 たいへんにひまなので昔の文章をアップロードします。高校の時、学校でつくる文集に書いたもの。この頃は世界史と日本史の暗記ばかりしていた。日本史と世界史に限って言えば、自分は高校で1,2を争う位置にいたが、その趣味が高じて文集に寄稿するにいたった。


趣味的歴史紹介 
                      
 この文の趣旨は趣味的な見地から歴史上の事物をご紹介することです。内容はそこらにある書籍に拠っています。ですからそれほど目新しいことが書いてあるわけでもありません。お暇でしたらご覧になってください。

一 王の横顔

 美男王とは何者でありましょうか。実は中世ヨーロッパ史に名だたる明君フィリップ四世の異名なのです。
 このように中世ヨーロッパの君主で英明愚昧に関わらず強烈な個性を持っている者は異名または通り名を持っています。たとえば禿頭王、肥満王、赤髭王などわかりやすいもの。また尊厳王、獅子心王などその厳かさ雄々しさを称揚せんとするもの。さらに欠地公子、邪悪王といった誹謗中傷の類までその命名法は多種多様。
 それにしてもわずか三、四文字の名が付くだけで片仮名と序数の羅列に過ぎなかった君主達が俄然個々の性質を帯びてくるではありませんか。例を挙げますに勇壮無比にして覇者たる矜持を持つ様子を彷彿とさせる獅子心王。その業績より身体的特徴の方が後世によく伝えられ、それがおかしみを誘う禿頭王。離間、篭絡何でもござれであっただろう邪悪王などなど。
 彼らの姿をより興味深い形で脳裏に留めておけるこれらの知識を蓄えるのも面白いと思うのですが。

▼閑話

 蛇足ながら名前の話をもう一つ。羽柴秀吉の名字の由来といえば織田家の重臣丹羽と柴田から一文字ずつもらい受けたのである、と。この説はよく巷間に流布しておりクイズ大会でも頻出問題。しかしながら由来に関しては今一つの説があるのです。羽柴は端場だ、家臣団の末席をけがさせていただきますという意味合いを持っているのだというのがその今一つでして。信憑性はともかくクイズ大会でこれを答えとして用いれば物議を醸すこと間違いなし。反骨漢を以て任ずる方には是非お試しいただきたい。

二 昭和の喧騒

 とかくあらゆる分野に人気と不人気、流行りすたりが見て取れますが史学とて例外ではありません。広く世の興味をひく部分とあまり取りざたされない部分があります。
 日本史を例にとって見ますと、策謀渦巻く戦国史や、若者が涼風の如く世を一過する明治維新などは非常な人気を集め、書店では関連する書籍が山と積まれています。この手のことが好きな方々の知識は精緻を極め、ここかしこでそれを披露される熱の入れよう。何とも活気があります。
 しかし、あまり取りざたされない部分も魅力が無い訳ではありません。ここではその内の一つ、昭和初期の歴史がいかに興味深いかをご紹介致しましょう。

 昭和初期は日本が軍国主義に傾倒していった暗い時代であったという記述はよく見受けられます。教科書で学ぶ内容も国家総動員法の制定や、思想、言論への弾圧、アジア諸国への侵略と抑圧など気の滅入るようなものばかりです。その為この時代の歴史は好まない方が多いでしょう。
 ですが、また違う面から見てみましょう。この時代は人物史華やかなりし頃。抑圧された世の中で輝く個性は穏やかな時代のそれとは格が違います。

 全くこの時代は、頭山満がアジアの志士たちをかくまうわ、出口王仁三郎が満州に乗り込むわ、女衒士村岡伊平治が東南アジアを飛び回るわ、甘粕正彦が関東州で暗躍するわ、大川周明が東条英機の頭を叩くわ、そうかと思えば安部定が猟奇事件を起こすわ、夢野久作がドグラマグラを上梓するわ、木村鷹太郎が奇説を唱えるわ、またあちらではバロンサツマが金をばら撒くわ、ついにはゾルゲがやって来るわで日本情勢も複雑怪奇で奇人変人怪人魔人が跳梁跋扈しているのです。

 このような見方はただ面白がるだけの無責任な態度ではありますが、常に歴史に肩肘を張って向かい合わねばならないものではないでしょう。

三 世界残酷物語

 さても地獄を何処ぞと問えば、娑婆と言うのがそこいらあたりじゃ、義理と人情に挟まれて、生きたながらのカスガイ地獄。
 と浪花節めいた出だしで始めましたが、何も義理と人情に挟まれずとも娑婆にいくらでも地獄は現出してきているのです。
 忌憚なしに語れましょうか、カンビュセス王の籤にまつわる故事を、エルブ―ルズに拠ったニザール派の内実を、黒死病が猖獗を極め鳥頭の医者が行き交うロンドンをば。
 こんなことを得々と述べるのはあまりいい趣味とはいえませんので、ここらで止しにしましょう。

※四 と 五 もあるが略す。読みたかったらコメントしてね。
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