椎葉円比神

カテゴリ:祭神 [2009年10月09日 19時00分]
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椎葉円比神社 (羽咋市柴垣町)
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椎葉円比神社 (羽咋市円井町)
No.2
神名椎葉円比神
(柴垣ではシイハマロヒメ、円井ではシイハツブラヒメ、森田平次説ではシイハノマドヒメ)
祭祀社名椎葉円比神社 (羽咋市柴垣町)椎葉円比神社 (羽咋市円井町)
相殿 


1 記載の収集
記載は適宜、旧字を新字に改めています。

(A) 椎葉円比神社 (羽咋市柴垣町)関連

むかしより椎葉円比神社にて、柴垣の邑名も神名より起りたるよし云伝へり。(1)


式内社なりといへども異説あり、

本殿の正後に周囲七十六間余の古墳あり、古老之を伝へて椎葉円比命の御墓なりといへり、

日本書紀を按ずるに…(中略)…、則ち当社の祭神は反正天皇の皇女円比命にして、社号は往昔より椎葉円比神社と称し、本殿正後の古墳は同皇女の陵墓なりといふ、
(2)

(B) 椎葉円比神社 (羽咋市円井町)関連

一説に邑知院円井村の白山社なりとて、是も今祭神を麻奴良比売命とす。円井てふ邑名に依て、旧神官の云出たるものなりといへり。(1)


村社にして奇稲田豊麻奴良比命、一名円比命を祭る、称して式内社といへども異説あり、

日本書紀神代巻を按するに、…(中略)…、即ち当社の祭神は素戔嗚尊の嫡后奇稲田姫命にして、社号は往昔より椎葉円比と称し、気多神社地蔵社は其嫡后の陵墓なり、村名の円井之より起る、嘗て白山社と号せしことあり、維新以後旧名に復す、
(2)

(C) その他

宿女村の宮に御一宿有し也。依て宿女の名あり。此宿女の御神体は椎葉円比(シヒハマル)ノ神社と号して、石動山天漢石三つの一にて、山御同体の御神にて、御神体は石也。(3)


祭神は稲田姫か。
[祭神が、久志伊奈太美土与麻奴良比命(三州式社記)とする説があるが]
皆付会の説にて取るに足らず。

宿女村の社とするも非なり。

按ふに、椎葉は丸形なる葉なる故に、シヒハノマトヒメと冠詞を冠らせ称へたる神名ならむ。
(1)


◇以下より転載
(1) 『能登志徴 上編』128頁 森田平次・著/昭和13年 石川県図書館教会・発行
(2) 『石川県羽咋郡誌』797頁、648頁 日置謙・編/大正5年 羽咋郡役所・発行
(3) 『能登名跡志』7頁 太田頼資・著/安永6年 日置謙・校訂/昭和6年 石川県図書館教会・発行

◇その他参考文献
※ 推奨『羽咋市史』452頁 羽咋市史編さん委員会・編/昭和50年 羽咋市役所・発行
※ 『羽咋の神々』81頁、107頁 林忠雄・著/昭和61年 北陸コロタイプ印刷・発行
※ 『式内社調査報告』256頁 式内社研究会・編/昭和60年 皇學館大學出版部・発行
※ 『石川県神社誌』274頁 石川県神社庁・編かつ発行/昭和51年
※ 石川県神社庁HP内 椎葉円比神社椎葉円比神社
※ 羽咋市HP内の記事 柴垣古墳群

2 所感

 能登の式内社の祭神の中でも、最も印象的な名前のひとつ。椎の葉と丸みと女性という3つの性質を併せたところが、昔の能登の人の詩心であろうか。これが椎葉円比古であってはいまひとつ可憐さに欠けるので、比である意義は大きい。

 『式内社調査報告』256頁に、「その神績は明らかでないとしても、古代この地方に勢威を有した氏族が氏神として奉祀したものと思はれる。本地域に多い大小の古墳も、恐らく本社を奉齋した氏族に関係するものであろう。」とある。祭神をクシナダヒメとする資料もあるが、それでは椎葉円比という立派な名前が無意味になってしまう。ここは素直に、昔の羽咋の人たちが祀った独自の神とするのが妥当であろう。

 また同頁に、「明治以後は『日本書紀』巻十二に見える反正天皇の皇女である円(つぶら)皇女にあて、天皇の柴籬宮(しばがきのみや)が柴垣に通ずるところから何らかの関係があったと推定し、親王塚古墳をもつて同皇女の陵墓だとするのである」とある。これは近代になって無理に中央の歴史に能登の歴史をすり合わせようとした説であろう。

 羽咋にはいくつもの古墳があり、柴垣の椎葉円比神社の境内にも古墳があるが、当地に特に縁もない大和の皇女の墓が、こんな遠く離れたところに作られた、と考えるより、羽咋を支配していた豪族の墓と考えるほうが普通だ。史料上の名前の一致のみを当てにしていると、曲解がなされる。

 一応、羽咋の有力氏族の開祖は、垂仁天皇の皇子・磐衝別命(いわつくわけのみこと)とされる。そのため、羽咋と皇族との関係も考えられないわけでもない。だが、羽咋市HP内の記事、柴垣古墳群によると、柴垣の古墳は「五世紀末から六世紀に至る「海の族長」の古墳であった」という。円皇女と縁があるという説は否定すべきだ。

 以上より、椎葉円比神は、羽咋の豪族が氏神として祀った神と思われる。また、もしかすると、椎葉円比は実在の女性で、柴垣の古墳に葬られたのかも知れない。神績は不明であるが、名前からして、椎の葉に宿って周辺の杜を守護するような役割であろうか。

cf.→Wikipediaの項目 シイ
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